よくある保証人をめぐるトラブル

1.保証と連帯保証の違い

基本的な違いは、まず普通の保証の場合、主たる債務者(実際にお金を借りた人)がお金を返せなくなたとき、その代わりに返済する義務を負うのに対し、連帯保証とは、主たる債務者の支払能力にかかわらず債権者に請求されたときは、返済義務を負うというものです。

普通保証の場合、債権者から請求を受けても、「まず借りた本人に請求してください。」(催告の抗弁権)と言えますし、また、債権者が保証人の財産に執行をしてきたときには、借りた本人の弁済の資力があり、かつ、執行が容易な事を証明すれば「まず借りた本人の財産に執行しなさい。」(検索の抗弁権)ということができます。

一方の連帯保証の場合には、これらの抗弁権がありませんので、債権者が借りた本人に何ら請求せず連帯保証人に直接「返済してください。」と言われれば、保証人としては支払うほかありません。

 

2.保証と根保証の違い

通常の保証では、返済期間、金額などが定まった特定の債務を保証しますので、保証人としては主たる債務者の支払いが滞った場合に、どのような請求がくるのかある程度予測することができます。

しかし、根保証とは、将来に渡り何度となく発生する債務を限度額内で保証するというものです。限度額、期間の定めが予めあるものもありますし、またその様な定めのない包括根保証というものもあります。

根保証契約をした際、債務者が実際に借入れた金額が100万円だとしても、将来に渡り借入を繰り返していった場合には、最終的に債務総額が2千万円に膨らんでいるかもしれません。

 

3.保証債務の性質

保証債務というものには次の3つの性質があります。

  1. 主たる債務がなければ保証債務は成立しない、また、主たる債務が弁済等で消滅すれば保証債務も消滅するという性質(附従性)
  2. 主たる債務者に対する債権が移転すると、保証人に対する債権も移転するという性質(随伴性)
  3. 保証人は主たる債務者が債務の履行をしない場合に初めてその債務の履行をしなければならないという性質(補充性)しかし連帯保証にはこれはありません。

 

4.主たる債務者の時効の効力は保証に及ぶのか

その債権を行使することができる時点から10年間これを行使しない場合にその債権が消滅すると民法で定められています。(債権者が営業として貸付をしているのであれば、5年の期間)

しかし、時効の中断事由が発生している場合があるので、一概にその期間が満了すれば時効を主張できるということではありません。時効の中断事由とは、債務の支払いや訴えの提起等をいいます。

この時効の中断事由の効果は、本来その当事者にしか影響を与えないというのが原則ですが、保証人の場合には、主たる債務者の時効の中断の効果がそのまま保証人に及んでしまいます。

結果、時効を主張するためには、主たる債務について時効の成立要件が充たされているか確認する必要があります。単に、主たる債務者が行方不明であり、債権者も保証人に対し請求をしてこないとい一事をもって時効を主張するのは危険です。

例え主たる債務者が行方不明であっても債権者は、公示送達という手続きをとおして訴えを提起し、勝訴判決を得ているかもしれません。

 

3.強迫を受けて保証人となった場合

この場合は、そのときの事情にもよりますが、相手方金融機関に対して、保証契約を取り消す旨の意思表示をして取り消すことが可能です。強迫が成立するかどうかは、その状況における言動や立会人の有無などの事情によります。

強迫した側が多人数であり、言葉が荒く通常人なら恐怖心を起こすのが無理もないと思われるような状況なら、取り消しが認められる可能性が高いでしょう。

 

4.貸金業者による債務者や保証人の信用調査がずさんであった場合に全額支払う義務があるのか。

貸金業の規制等に関する法律第13条によれば、「貸金業者は、資金需要者である借主または保証人となろうとする者の資力・信用・借入状況・返済計画などについて調査し、その者の返済能力を超えるような契約を締結してはならない。」と規定されている。

また、事務ガイドラインにより返済能力を超えるような貸付とは、「50万円または年収の10%相当額」とされています。

しかし、上記の13条の過剰融資の禁止規定は、罰則もなく、同条に違反したからといって当然に契約が無効になるわけではありません(訓示規定)。ただし、自ら同法に違反する貸付を行いながら、債務者や保証人に対して全額の請求をすることは、権利の濫用として許されないとの判例もあります。

 

5.借主が死亡した場合に債務を弁済した保証人はその借主の相続人に請求できるか。

保証人が借主に代わり貸金を返済した場合には、保証人は借主本人に対して求償権を取得します。他方、借主に相続が開始し、相続人は被相続人の一切の権利義務を承継します。そのため、借主の保証人に対する求償債務も相続されることになるのです。

仮に300万円の求償債務があった場合に、相続人が配偶者及び子の3人だったとすると、配偶者が150万円・子1人につき50万円の求償債務を弁済しなければならなくなります。

しかし、必ずこのようになるのではなく、相続人には相続を放棄することができますので、その手続きをとられると求償権を実現することが難しくなりますが、相続放棄は単に書面で「放棄する」といっても効力は発生せず、家庭裁判所に申述しなければなりませんので、注意してください。

 

6.商工ローンの保証人を頼まれた場合

商工ローンとは、根保証・手形・公正証書・根抵当権等のあらゆる回収手段を備えた上で、融資を行う業者です。また、利息制限法を超過した出資法の上限金利ギリギリの利息で貸し付けてきます。

主債務者(借主)がその様な高金利業者でなければならない理由は、金融機関や公的資金の融資が受けられないためだと想定することができます。 つまりは、資金繰りがうまくいっていないといえるでしょう。

金融機関も公的資金も受けられないような経営状態の会社にどうして商工ローン業者は、金銭を貸すのでしょうか。商工ローン業者は、借主本人から元金を回収しようとは考えていません。ただ利息のみを支払ってくれればいいのです。

そこで、強力な担保となる保証人の登場となるのです。しかも、根保証です。商工ローンの保証期間は5年という設定が多いのですが、先のとおり、低利の公的融資等を受けられなくなった会社ですし、さらに高利を毎月支払わなければならないのでから5年間も持ち堪えることは容易ではありません。

また、5年が仮に経過しても、他に資力のある保証人を代わりに立てるなどの代替措置をとらない限り、簡単には保証人から外してくれませんし、保証人が外れる事を理由に一括請求もされかねません。保証人になったら最後、完済するまで、気が抜けません。

 

7.主たる債務者(借主)が、破産宣告を受けた場合の保証人の責任

借主の破産宣告及び免責の効力は保証人には及びません。従って、保証人はその債務の支払いをしなければなりませんし、また、契約書に「破産宣告をした時は期限の利益が喪失する。」とあり、債権者から残額の一括請求をうけるおそれもあります。

この場合は、現在の残高がいくらになっているのかや、今までの取引の内容を債権者に尋ねる必要があります。その上で、今まで通りの分割返済の話し合いをするべきです。

また、どうしても応じず、一括弁済が無理なようであれば、保証人自身も債務の整理をする方法を検討しなければなりません。

 

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