支払督促について

支払督促の概要

支払督促の制度は平成8年6月18日に新しい民事訴訟法が成立し,平成10年1月1日に施行されたもので,支払督促は,通常の訴訟手続によらないで,簡易迅速に確定判決と同様の効果を持つ「債務名義」(強制執行を行えることを裁判所が認めた文書)を取得し,債権回収を目的に行うものです。

売掛金を支払ってくれない取引先に対して,期限を定めて内容証明郵便で請求したが,それでも支払ってくれない場合に,やむを得ず法的手続をとりたいときは,支払督促の申し立てがもっとも簡単で早い。支払督促は,訴訟,民事調停と並んで,簡易裁判所の主要な紛争解決方法の一つです。

債権の目的が「金銭その他の代替物又は有価証券の一定量の給付」の場合に債権者が簡易裁判所に申立て(相手の住所地を管轄する簡易裁判所)を行うと,書記官は,証拠の提出がなくても,申立書の審査だけで,債権者の申立てに理由があると認めれば,債務者の言い分を調べることなしに債務の支払いを命ずる制度(民訴法382条)で,支払督促は債務者に支払を督促する簡易裁判所書記官の裁判ということになります。

少額訴訟のような金額的な制限はありませんし,140万円を超えても簡易裁判所に申し立てできますが,対象となるのは上記のとおり金銭等の請求だけですので,建物の明渡し等の請求には利用できません。

 

ただし,債務者は,支払督促が送達されてから2週間以内に異議申し立てができます。これにより支払い督促は効力を失い,申立て時に通常の訴訟の提議があったものとみなされます。

通常訴訟に移行した場合,請求額が140万円以下のときは手続きをした簡易裁判所,140万円を越えるときはその簡易裁判所の所在地を管轄する地方裁判所となります。ですから,支払督促から通常裁判に移行した場合には,債務者の住所地で訴訟が進められるので,管轄の点で不利になりますし,また,異議申し立ては,理由の有無を問わずに行えるため,異議が申し立てられた場合,初めから通常訴訟や少額訴訟を選択した場合に比べ,時間が余分に掛かってしまうのが難点です。

債務者は,異議申立てをする際,何も理由を述べる必要はないのです。ですから例えば,全額支払えとの督促に対して 「分割払いでしか応じられないので分割払いにしてください。」 という和解をしたいという場合には異議申立てによって請求するということになります。

2週間以内に異議申し立てがされなければ,それから30日以内にあなたが仮執行宣言の申立てをすることにより仮執行宣言付支払督促がだされます。これによって強制執行ができるようになります。

 

仮執行の宣言とは,裁判で金銭の支払いを命ずるとの確定判決が出るまでに,債務者の財産が悪化してしまいせっかく債権者が勝ったとしても意味がなくなることがあります。そこでそのようなことを避ける意味で特に例外的に確定を待たずに強制執行ができるよう,認められた制度です。

債務者が強制執行を止めさせるためには,裁判所に執行停止の申立てをして,保証金を供託した上で,執行停止の決定を得る必要があります。

支払督促は,公示送達ができません。つまり債務者が行方不明者であったりする場合には行うことができず,債務者へ送達不能の場合は,送達不能の通知を受けた日から2月以内に,別の新たに送達すべき場所の申し出をしなければ,支払督促の申し立てを取り下げたものとみなされてしまいます。

その理由は債務者に対して異議申立ての機会が保証されなければならないからです。

但し,支払督促申立書が受理された後の仮執行宣言付支払督促正本の送達に関しては,公示送達の方法が認められています。

 

支払督促のまとめ

支払督促の申立てが適法であり,請求に理由があると認められるときは

  1. 裁判所書記官は債務者の言い分を聞かないで支払督促を出してくれます。
  2. この支払督促は債務者に送達されます。
  3. 送達後2週間以内に債務者からの督促異議の申立てがなければ,それから30日以内に債権者は申立てによって仮執行の宣言をしてもらいます。
  4. 仮執行宣言付支払督促を債務者に送達し,送達後2週間以内に債務者からの督促異議の申立てがなければ,いよいよ仮執行宣言付支払督促は,その正本によって強制執行の申立てができる債務名義となるわけです。

 

滞納督促手続の概要

滞納督促手続の概要

 

千葉県習志野市・京成津田沼駅すぐ 千葉県民司法書士事務所

ご相談は無料ですので、まずはお気軽にご相談をお寄せください。
迅速に回答をさせていただきます。

お電話:047-411-4448(月~金 9時30分から19時)

メール:akune33@nifty.com(メールは24時間受付)

お問い合わせ

SITE MENU

携帯用ホームページ

Copyright© 千葉県習志野市津田沼・千葉県民司法書士事務所 All Rights Reserved.