時効についてのお話

○時効とは?

皆さんは時効という言葉を聞いたことのない人の方が珍しいくらい耳にされていると思いますが、その具体的な内容となると、法律が複雑である分正確に理解されている方は意外と少ないのではないでしょうか。

その全てをお話することは、ページ上無理がありますのでその概略だけでも知っていただき、日常生活に役立ててください。

 

○時効の種類

大きく分けると、取得時効と消滅時効があります。

  • 取得時効…真実権利者でない者があるものを一定期間自分のものだと思って占有していると、そのものの権利を取得すること。
  • 消滅時効…権利者が一定期間、その権利の行使をいない場合、その権利が消滅してしまうこと。

借りたものは返すのが当たり前だし、人の土地を占有したからってそれが自分のものになるということは社会正義に反するようにも見えますが、以下の理由があるのです。

 

●権利を長い間行使しない者は法的に救済する必要がない。

自らその権利を放置しておくことは、権利を証明する事が困難になっていき、また今ある事実関係の安定が害されてしまうからです。

たとえばAさんが自己のものとしてある土地を占有したとしましょう。何十年も占有を続ければ、近所の人はあの土地はAさんのものだという認識が出てくるでしょうし、Aさんもその土地を売ってしまうかもしれません。その後で「あの土地の本当の所有者は俺だ」と言ってきたら取引関係はうまくいかなくなるし、社会の混乱が発生するかもしれません。

そこで一定の事実を認めることにより法的安定性が保たれ、取引も安心して行なうことができるのです。

 

○消滅時効期間

時効期間は一律何年と規程されているのではなく、各種内容により異なっています。これはさっきも述べたように、法的安定性に着目し、より早く時効に係らせるほうが社会の安定という面で良いのではというものに対しては、比較的短期に設定されています。

●民法上の短期消滅時効

(1年)

  • 芸人等の賃金
  • 運送費
  • 旅館、料理店、映画館、野球場等の宿泊料、飲食料、席料
  • レンタルビデオ、レンタカー等の賃料

(2年)

  • 弁護士、公証人の報酬
  • 生産者、卸売商人、小売人が売った産物や商品の代価
  • 床屋さん等家に居ながらの仕事をする人の料金
  • 塾等の教育費用
  • 離婚による財産分与請求債権

(3年)

  • 医師、薬剤師の報酬
  • 技術者、棟梁、請負人の費用
  • 不法行為の損害賠償債権

(5年)

  • 地代、家賃、扶養料等の年払いか月払いで定期的に支払われる債権

◎その他の民事債権は「10年」
債権以外の財産権は「20年」
商事債権は「5年」(商人間の金銭消費貸借債権等)

 

●消滅時効の起算日

  1. 弁済期の定められた債権の消滅時効は弁済期から進行する。
  2. 弁済期の定めのない債権は契約成立の時から進行する。
  3. 不確定期限付の債権は期限が到来したときから進行する。
  4. 停止条件付債権の場合は条件成就から進行する。
  5. 債務不履行による損害賠償債権は、本来の債務の履行を請求できるときから進行する。
  6. 不法行為による損害賠償債権は、被害者またはその法定代理人が損害及び加害者を知ったときから進行する。(3年)
  7. 賃貸借契約に基づく敷金返還請求権は目的物返還のときから進行する。

 

●消滅時効にかからないもの

何でもかんでも時効により消滅してしまうものではありません。

  1. 所有権、所有権に基づく登記請求権・物件的請求権
  2. 占有権、留置権、先取特権、質権、共有物分割請求権

は消滅時効にはかかりませんが、取得時効の反射効によりその権利を失うことになる場合もあります。

 

○取得時効

消滅時効期間には様々な期間がありましたが、取得時効は「10年」又は「20年」の2種類しかありません。10年で取得する場合の要件は次のとおりです。

  1. 所有の意思を持って占有した者である。(所有権の場合)(自主占有)
    注:賃借しているものは他主占有といい、この場合所有する意思ではなく「借りる」という意思なので所有権の時効取得はできません。
  2. 自己の為にする意思を持って財産権を行使する者である。(所有権以外)
  3. “平穏”(占有の取得、維持について暴行強迫等の違法行為がない。)“公然”(占有の取得、維持について秘匿していない。)“善意(自己のものであると信じている。)“無過失”(自己のものであると信じることについて過失がない。)
  4. 占有の継続。“悪意”または“有過失”の場合は20年占有すればその権利を取得できる。

☆それでは、その時効を止める方法はないのでしょうか

 

○時効の中断事由

1.裁判上の請求

  1. 訴訟
  2. 支払督促
  3. 起訴前和解
  4. 破産手続き参加
  5. 会社更生手続きによる債権届出
  6. 不動産競売開始決定書の送達
  7. 強制執行の配当要求
  8. 仮差押、仮処分、差押、担保権行使による競売申立
  9. 調停

 

2.裁判外の請求

これはよく内容証明により催促などをすることです。

確かに請求ですが、裁判外であるためその効力は6ヶ月間でありその期間内に、他の中断事由を行使しなければ、中断の効力が失われてしまいます。

裁判手続きは面倒なので、この請求を6ヶ月ごとにすればいいのではと思われますが、これは認められていません。

 

3.承認

通常は時効により利益を受ける者から、例えばその債務の存在を認める意思表示をいいます。

  1. もう少し待ってくれという意思表示
  2. 一部金の支払
  3. 債務額を減額してくれという意思表示

 

 

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