任意整理について

1 任意整理の意義

債務者の約定利率(20数パーセント)による元利金の請求に対して,

  1. 利息制限法による元利計算を行い,その額を基準に今後の返済計画を立てる
  2. 最終取引日以降は,遅延損害金を付させない
  3. 和解後の分割金に利息は付さない
  4. なぜ,このような多重債務に陥ったのか,客観的に専門家からアドバイスを受けられ,生活改善ができる。

 

2 支払原資の確保

  1. まず,大事なことは,今後最低でも3年間は収入に大幅な変動がないことを心がける。
  2. 3年間に予想される,子供の進学,賃貸借契約の更新料,自動車保険,税金の支払い等を考慮する。
  3. 配偶者のパート収入,副業の収入はあまりあてにしない。
  4. 親族等の援助者がいる場合,援助の内容(額,援助者の職業・収入)を正確に把握しなければならない。
  5. ボーナスはその半額しか返済計画では考慮しない。
  6. 家計表をつけて,理論的な返済可能額をだす。
  7. 毎月可能な返済額よりも,1万円を上乗せした金額を毎月積み立てる(理想)。

 

3 任意整理を成功させるには

これは,取引当初の取引経過を開示してくれるかにかかってきます。

貸金業法第19条では,貸金業者に対して取引経過を記載した帳簿の作成,保存義務を課しており,事務ガイドラインでは,「債務者,保証人,その他の債務の弁済を行おうとする者から,帳簿記載事項について債務の内容に関する開示を請求された場合には,協力することと定められており,一般的な義務を貸金業者は負っているといえる。

しかし,「3年分しか保存していない」「平成15年3月13日の最高裁判決で開示義務はないと判断された」などと主張してくるが,平成15年3月13日の最高裁判決に関して言えば,原審の名古屋高裁の判決に,民事訴訟法上の上告理由ならびに上告受理要件を満たさなかったに過ぎず,積極的に取引開示について最高裁として判断したものではない,との反論ができる。

このように主張する業者は,この最高裁決定を即,貸金業者について取引開示義務は発生しないと捉えることは判例の見方を誤った解釈であると考えられる。

原審である名古屋高裁判決も,貸金業者に一般的な取引履歴開示義務があることは否定したものの,「取引関係にある債権者と債務者は,信義に従い誠実に権利を行使し,義務を履行すべきであるから,その行為の態様,なされた状況その他諸般の事情によっては,貸金業者の取引経過に関する情報の不開示が信義誠実の原則に著しく反し,社会通念上容認し得ない違法な行為と評価される場合があり得る。」として,個別的事情事案では取引履歴不開示が信義則に反して違法と判断される場合があり得ることを認めているのである。

また,3年間しか保存義務がないとする主張に対しても,これは貸金業法上の帳簿保存期間が3年であることから主張していると思われるが,保存義務と開示義務は別のものであり,さらに,3年の保存義務は債権が消滅してから3年間であるので,継続取引をしているのであれば,当然に取引が終了するまで保存しておかなければならないのである。

商法36条には商人の帳簿の保存期間は10年と定められており,また法人税法上でも7年の保存期間が要求されていることからしても,3年分しかないとの主張は的を得ていない回答といわざるを得ない。

それでも開示しない業者については,監督官庁に行政指導の要望書を提出したり,特定調停を利用することも検討する。

 

4 心構えとして

  1. 今後,3年間は厳しい生活を覚悟する。
  2. 安定した支払原資を確保するため,職業,住居,家族関係など生活全般にわたって,できるだけ支出をしないような生活を心がける。
  3. 今後,借金をしない。現在では,任意整理もしくは自己破産をしても,金銭を貸し付ける業者がいるので注意。
  4. よくある話として,「自動車だけは手放したくない」,「クレジットで購入したパソコンはこのまま使いたい」,「自宅は手放したくない」などと,気持ちは痛いほど分かりますが,やむを得ずそれらを売却したり,返還して残債務を減らしたりすることもあり得ることは肝に銘じておく。
  5. 給与の差押をしてくる業者もいるので,この場合には特定調停等その他の手続をしなければならない場合があることもある。
  6. 任意整理は,法的手続きではなく,あくまで債権者との私的交渉によるのですが,裁判所が関与する法的な手続のごとく,担当する専門家がきちんと債務者の支払い能力及び資産状況を把握判断し,履行が確実であると見込みがないのに整理するような専門家には依頼しないこと。
  7. 任意整理とは,確かに私的な整理方法であるが,債権者平等の原則もあるし,また,我々の役目は債権者からの請求が止まり盾の役割を果たすが,これが目的ではなく,究極の目的は債務者の社会的更生にあることを自ら自覚し,信頼関係のもと,計画を完全に遂行していけるよう最後まで協力をしていただきたい。

 

参考

日本司法書士会連合会統一基準

1.取引経過の開示

当初の取引より全ての取引経過の開示を求める。
取引経過の開示は,金融庁の事務ガイドラインにも明記されており監督官庁からも業者に対し徹底することが指導されている。もし取引経過の開示が不十分な場合,和解案が提案できないことを通知し,監督官庁(財務局,都道府県知事)等へ通知する。

2.残元本の確定

利息制限法の利率によって元本充当計算を行い債権額を確定すること。
確定時は債務者の最終取引日を基準とする。

3.和解案の提示

和解案の提示にあたっては,それまでの遅延損害金,並びに将来利息は付けないこと。

債務者は,既にこれまでの支払いが不可能となり,司法書士に任意整理を依頼してきたものである。担当司法書士としては,債務者の生活を点検し,無駄な出費を切り詰めて原資を確保し和解案を提案するものであり,この残元本にそれまでの遅延損害金,並びに将来利息を加算することは弁済計画を困難ならしめる。

したがって,支払いについては,原則として遅延損害金並びに将来利息を付けない。

 

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