特定調停のメリットとデメリット

特定調停について

債務超過で月々の返済で悩んでいる方、どうにもならず誰にも相談できずお困りの方、「特定調停をご存知ですか?」

平成12年2月17日施行された、有力な債務者の武器となりえる民事調停法の特例として「特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律」が施行されました。

今までの民事調停手続よりさらに、債務者に有利なものとなりました。
これにより今まで破産しか立ち直りの機会がなかったものが、特定調停と言う選択肢が増えたと言えるでしょう。
しかし、誰もが使えるとは断言できません。

それでは、どういう状態の場合に利用できるのか?

  1. 支払不能に陥るおそれのあるもの
  2. 事業の継続に支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済する事が困難であるもの
  3. 債務超過に陥るおそれのある法人

(破産申立との明確な線引きは、ケースバイケースであるため一概にはどちらを選択すべきかはいえません。申し立てをしようとする者の意思が大きく働きます。)

利息制限法に基づく利息の再計算を行い、債務が圧縮でき且つ、3年~5年で無理なく返済していけるかどうかが一つの目安です。
長期(7~10年位)で返済を繰り返している場合、超過利息の元本組み入れにより、債務額が「0」になる可能性があります。

 

本法の概要

◎経済的に破綻するおそれのある債務者(特定債務者)の経済的再生に資するため、民事調停法の特例として特定調停の手続きを定めることにより、特定債務者が負っている金銭債務に係る利害関係の調整を促進しようとするものです。

  1. 特定調停の申立て手続き
    申立人(特定債務者)は、財産状況を示す明細書、特定債務者であることを明らかにする資料及び債権者一覧表を提出しなければならない。
  2. 民事執行手続きの停止
    裁判所は、特定調停の目的となった権利に関する民事執行手続きの停止を命じる ことができる。(特定調停の成立を著しく困難にし、またはその円滑な進行を妨げるおそれのある場合)
  3. 当事者の責務
    当事者は、債権債務の発生原因、内容等に関する事実を明らかにしなければならない。
  4. 調停委員会が提示する調停条項案
    特定債務者の経済的再生に資するとの観点から、公正かつ妥当でかつ、経済的合理性を有する内容のものとする。
  5. 特定調停を容易にするための措置
    • 書面による調停条項案の受諾の制度(遠隔地にいる当事者が出頭できない等)
    • 調停委員会が調停条項を定める制度(当事者の共同の申立てがある場合)
  6. 特定調停の不成立
     調停委員会は、合意が成立する見込みがない場合また、成立した合意が前記4の内容に合わない場合は特定調停を不成立とし、事件を終了することができる。

 

◎特定調停の態様

  1. 特定調停制度は、個人・法人を問わず、経済的に破綻するおそれのある債務者の経済的再生に資するという観点から行なおうとするものでありますから、調停が成立し、それを履行することにより個人や事業者が倒産や破産に至る事態を回避することができます。
  2. 特定調停は「倒産」に至る前の段階で話し合いにより債務の調整を図ろうとする制度でありますから、この調停を利用しても「倒産」や「破産」とみなされるものではありません。
  3. 個人について、サラ金等による多重債務者や住宅ローンを抱えた債務者が破産を回避して経済的再建を図ろうとする場合特定調停は有効な債務調整手続きとなることが期待されています。
    また、法人であっても、商工ローンの債務者の場合や、債権者が比較的少ない場合、また債権者との間において対立がない場合、さらに債権者の数は多いが、大方の債権者の協力が得られ、一部の債権者との間で調整を残すのみであるというような場合に、この調停制度はやはり有効な債務調整手段となることでしょう。

◎特定債務者

  1. 支払い不能に陥るおそれのある個人または法人
  2. 事業の継続に支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済することが困難である者
  3. 債務超過に陥るおそれのある法人

※現に破産原因そのものが存する場合でも特定調停制度を利用することができます。
※借入先の金融業者が一社または一名でも上記に該当すれば申立が可能です。(複数である必要はない)
上記に該当しない者(債務超過等の事態に陥るおそれがないなど)が特定調停の申立をおこなった場合、調停委員会は特定調停をしないものとして、事件を終了させることになります。

◎民事執行手続きの停止

1、制度趣旨

①特定債務者について、当事者の互譲により経済的再建に向けての債務の調整が期待できるにもかかわらず、債権者による民事執行の手続きが進行し、特定債務者の財産が売却されるなどして経済的基盤が破壊されてしまえば、調停成立後の履行が不可能となり、本制度の意味が失われる危険性があるからです。

 

2、発令手続き

執行停止命令は、当事者の申立により発令されます。この場合に所定の要件について疎明しなくてはなりません。疎明の内容は「事件を特定調停によって解決することが相当であると認められる場合において」、「特定調停の成立を不能にし若しくは著しく困難にするおそれのあるとき」または「特定調停の円滑な進行を妨げるおそれのあるとき」に命ずるとされていますので、証拠資料等でこれを疎明しなければなりません。

通常の民事調停では、担保を提供しなければ執行の停止は命ぜられないのですが、特定調停の場合は、裁判所の判断によりますが、場合によって、担保をたてさせないでこの命令を発することが認められています。

逆に債権者としては、この執行停止命令に対し、執行の続行命令を求めることができます。

 

3、執行停止命令の効力

執行手続きは当該調停事件の終了までの間、一時的に停止させるのみであり、既になされた執行処分を取り消すような効力まではありません。したがって、調停が不成立に終了した場合、執行停止命令の効力も失われることになります。

しかし、本調停はあくまで民事に関する紛争に関するものについての制度であるため、租税債務についての執行手続きを停止することはできません。

 

「メリット」として

裁判所が相当と認めるときは、申立により特定調停が終了するまでの間、無担保でも民事執行が停止できる場合があります。(しかし、給料債権等が執行の対象となっている場合はこの限りではありません。)

疎明資料が全くない(契約書等)場合でも相手方にその資料の提出を求めることができ、これに応じない場合は、10万円以下の過料に処せられます。

 

「デメリット」として

債権者に対しては法的拘束力はなく、調停委員による調整に応じる義務はありません。
そのため債権者が調停期日に出頭せず、調停不成立になる場合があります。

合意が成立した場合、確実にその内容を履行しなければならず、それを怠ったときは、裁判を受けることなく強制執行を受けますので、無理のない返済計画を立てて、申立に臨む必要があります。

 

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