個人民事再生の詳細(その6)

個人民事再生の詳細(その5)の続きです。

再生手続開始決定後

1 再生債権の確定

  1. 債権届出期間内に債権の届出がない場合 → 届出期間の初日に債権者一覧表に記載した債権額で届出がなされたものとみなす(225・244条)。
  2. 異議期間内に再生債権者および異議を留保した再生債務者は届出債権(みなし届出含む)について異議の申立てを行うことができる(226・244条)。
  3. 異議を述べられた場合に評価の手続に進む場合,評価の申立てを行うが,無名義債権は,再生債権者,有名義債権は,異議を述べた者が申立てを行う必要がある(227条1項・244条)。
  4. 異議を述べたが,評価の申立てがない場合
    1. 有名義債権 → 異議はなかったものとみなされる(227条2項・244条)。
    2. 無名義債権 → 異議額について,無異議債権や評価済債権に劣後した取り扱いとなる。(つまり,その額について,再生計画案で定めた弁済期間が満了するまでは,弁済,その他債権を消滅させる行為(免除を除く)ができない。

2 再生計画案の作成

(1)再生債権者間平等の原則

 例外

  1. 不利益を受ける再生債権者の同意がある
  2. 少額再生債権の弁済時期につき別段の定めをする(資料9)
  3. 再生手続開始後の利息,再生手続開始後の不履行による損害賠償および違約金請求権,再生手続参加の費用については,何れも再生手続開始後のものでも例外的に再生債権(84条2項)とされ,再生債権に派生ないしは附従するものであり,劣後的な取り扱いをしても不合理ではないため,実務上は,「再生手続開始 決定の日以降の利息・損害金については全額について免除を受ける。」という内容になります。
  4. 平成17年1月1日より次の例外が加わります。
    1. 再生債務者が悪意で加えた不法行為による損害賠償請求権
    2. 再生債務者が故意または重過失により人の生命または身体を害する不法行為による損害賠償請求権
    3. 次の義務に係る請求権
      1. 民法752条の夫婦の協力および扶助義務
      2. 同760条の婚姻費用の分担義務
      3. 同766条の子の監護義務
      4. 同877条から同880条までの扶養義務
      5. (ⅰ)~(ⅳ)までの義務に類する義務であって,契約に基づくもの
(2)再生計画案の及ばない範囲
  1. 別除権者
  2. 保証人
  3. 連帯債務者
  4. 物上保証人

3 再生計画の変更

(1)認可後の再生計画案の変更

やむを得ない事由で認可された再生計画の履行が著しく困難になった場合は,再生計画変更の申立てが可能(234条)。

この場合,再生計画の最終弁済期日より2年を超えない範囲で延長できる(234条1項)。

(2)ハードシップ免責

再生計画履行中に,再生計画に基づく弁済が極めて困難になった場合,次の要件を満たせば,それ以後の再生債務は免責される。なお,給与所得者等再生にも適用されます。

  1. ア 再生債務者が,その責めに帰することができない事由により再生計画を履行することが著しく困難になった場合
  2. 再生計画における各弁済が4分の3以上終えている
  3. 免責を決定することが再生債権者の一般の利益に反するものではない(清算価値保証の原則) (つまり,破産の場合の配当を下回らないこと)
     この場合の清算価値は,ハードシップ免責時ではなく,再生計画認可時における清算価値をいう
     例えば,100万円を弁済する再生計画が認可され,このときに50万円の配当可能な財産を有していた場合,75万円を支払った段階でイとウの要件を満 たしますが,認可時に80万円の配当財産があった場合には,80万円を支払って初めてこの要件を満たすことになります。
  4. 再生計画の変更をすることが極めて困難であること
(3)再生計画の取消し制度

再生債権者は,次の事由があるときは,再生計画の取消しを申立てることができる。

  1. 再生計画が不正の方法で成立した
  2. 再生債務者が再生計画の履行を怠った
    この場合は,再生計画の定めによって認められた権利の全部について(履行された部分を除く)裁判所が評価した額の10分の1にあたる再生債権者で,かつ, 履行期が到来しているにもかかわらず履行を受けていない債権者に限られる(再生債権者が数人で未履行部分を有する場合,その数人で申立てることは可能)
  3. 再生債務者の一定の行為について裁判所の許可にかかるにもかかわらず,それに違反した場合
  4. 再生計画が認可確定した後,弁済総額が再生計画認可決定時において破産配当金額を下回ることが明らかになった
  5. 給与所得者等再生手続終了後(認可決定確定後)可処分所得要件を満たさないことが明らかになった

個人民事再生の詳細(その7)に続きます。

 

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